連載 第2話 「100日企画の始まりと、最初の大炎上」
■ 前回のあらすじ
もともと「ごほうびショコラ」という名前で夫が小さく始めた店を、妻の私も協力して経営してくことになりました。創業から5年目、屋号は愛されつつも、検索で名前が埋もれ、原価高騰や売上の停滞も重なり、“このままでは続けられない”と危機感を覚えました。だからこそ、屋号もブランドも店の在り方も見直すという、大きな決断をしたところからLudeekの物語が始まりました。
■ 「100日後に生まれ変わる店」──企画のはじまり
お店の名前を変えること、内装を変えること、ブランドを変えること。大きな決断をしたと同時に、私は「この変化をどう発信しようか?」と考えました。
ちょうどその頃、Instagramでは「100日後に××する」という企画が流行しており、それを見て、「これをお店のリニューアルに応用できないかな?」と閃いたのです。
しかし私は、お店を私の独断で変えるつもりはまったくありませんでした。
動画で広く意見を募りながら、宣伝をしつつ新しいお客様にも出会い、同時に、今のフォロワーさんにも“お店が生まれ変わるプロセス”を共有し、100日後の大きな変化へ向けて、みんなで一緒に歩んでもらう、そんなイメージでした 。
私は“店側だけの独りよがりなリニューアルにはしたくない”と思っていたのです。
だからこそ、1日目の投稿では「ごほうびショコラを100日かけて生まれ変わらせたいので、意見を聞かせてください」と、広く呼びかけるような内容でスタートさせました。
■ 完全に想定外だった「初回大炎上」
しかし、投稿後すぐに予想もしない事態が起きました。
動画が “大炎上” したのです。
再生回数は何十万、コメントは数百件単位でつきましたが、それは歓迎の声ではありませんでした。
「夫の店を、関係のない妻が勝手に変えようとしている」という誤った認識が一気に広がり、
・「こんな妻は嫌だ」
・「離婚したほうがいい」
・「夫がかわいそう」
・「昔行って好きなお店だったのに嫌いになった」
といった辛辣なコメントが殺到。あまりの激しさに、3日は食事が喉を通らなくなったのを覚えています。
■ 批判の中に混ざっていた “価値あるコメント”
ただ、すべてが悪意だけではありませんでした。批判の奥に、改善につながる具体的な意見も多くありました。
・「動画の服装が店のイメージと合っていない」
・「現場に立ってないなら、店に出たほうがいい」
どれも耳が痛いけれど、目をそらしてはいけない指摘でした。
「確かに…これはすぐにできることではないけど、100日もある。順番にやっていけば変われるかもしれない」。そう思い、私は次の動画の方針を考え始めました。
■ 2日目・3日目の投稿と、新たな炎上
炎上したことで、逆に多くの人が私のアカウントを見るようになっていました。すぐに取り組みたいと思えるアドバイスももちろんあったのですが、どんなに早く取り組んでも、取り組みをして即日動画にするのは間に合わないだろう、とあらかじめと思っていたのでまずは2日目はお店の紹介をしようと思っていたのです。
また、想像以上に動画で初めてお店を知ってくださった方が多く、「お店の成り立ちを知ってもらったほうが、より共感してもらえるのでは」と考え、2本目・3本目の動画では、創業のきっかけを紹介することにしました。

それは、私自身にとっても大切な思い出です。大学4年生、卒論の執筆で心が折れそうだった時、夫は、フランス人の友人から習ったレシピを何度も試作して私を元気づけるためのガトーショコラを作ってくれました。それを食べた時、本当に涙が出るほど嬉しく、元気を取り戻しました。
「こんな元気がでるスイーツを作れるなら、もっと多くの人に食べてもらうべきだよ」と私が言ったことが、お店のすべての始まり。これは、私にとって嘘のない“本当の原点”でした。
しかし──これがまた、予想外の大きな誤解を生みました。
夫が以前書いていたパンフレットには「仕事が忙しい妻を見て作った」と書いていたのですが 、それは夫の優しさからで、「卒論で大変」と書いても伝わりにくいからという理由で、“社会人で仕事が忙しいの方が伝わりやすいだろう”と変更していたのです。
でも、私としてはこの話を知っている友達からしても、本当は大学の卒論で苦しんでいたというのを身近な人を知っているので、なんだかそこを動画で、自分自身の口から「会社の仕事が大変で…」と言うのは心苦しかったのです。そういったわけで、動画では、本当のことを言いました。
これがまた、予想外の大きな誤解を生み、「話が違う」と新たな炎上に発展。
・「仕事で大変って書いてたのに、大学の卒論?話が矛盾してる」
・「ストーリーに一貫性がなくて信用できない」
・「大学卒を自慢したいだけ?」
そんなコメントで再び燃え上がりました。本当のことを言っているのに、それが逆効果になる――SNSの難しさを、初めて痛感しました。残り97日もあるのに、この時点で心はかなり限界に近づいていました。
■ 【第3話の予告】コメントから始まった“大掃除とDIYの日々”
100日企画の序盤で炎上し、心が折れそうになった私を救ったのは、ある一言でした。
「まずは掃除をしたら?」
その言葉をきっかけに、お店の掃除、装飾の撤去、窓磨き、ペンキ塗り、屋根の清掃…… 。現場でできることを、ひとつひとつ積み上げていく日々が始まります。
次回、第3話は——“プロではなく素人の私が編集している”という誤解と、そこから生まれた大掃除&DIY奮闘記。炎上の裏で変わり始めた「リアルな店の姿」をお届けします 。
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